コロナウイルスのニュースの中や、SNSの中で「抗体検査」しました、とよく耳にするようになりました。
抗体検査ならなんでも分かるわけではないんだぞ、という思いを込めてこのブログを書いています。
攻撃の飛び道具「抗体」
私たちの体を守る、免疫システム。
そのうち、飛び道具として使われるのが「抗体」です。(手裏剣みたいなもの、としておきましょう)
抗体は、敵(ウイルスや細菌)に対抗するために、その敵専用にカスタマイズされたものが、作られます。
- 敵がきたぞー!
- 仲間の細胞が敵を食べる
- 食べた敵の情報を仲間に伝達
- その情報に合わせた抗体を作る細胞を作る
- 抗体量産!
という流れです。
(*ここではIgG抗体を説明しています)
カスタマイズされた抗体ができるのには時間がかかる
これまで説明したように、特定の敵に合わせて作られる抗体は、量産体制に入るまでに時間がかかります。
感染直後に、抗体検査をしても、感染しているのか、感染していないのかは分からないと言われるのは、そのためです。
敵が入った直後では、まだ量産できていない、ということなのですね。
敵(=抗原)自体を調べることのできる「抗原検査」や
敵の情報を直接調べようとする「PCR検査」
の方が、早く感染を知ることができるというわけです。
ちょっと前に感染していたかを調べる検査
抗体検査をすると、少し前に感染していたかどうか、は調べることができます。
例えば、
流行地域に滞在していたけれど、自分はかかっていたのか
そういう場合は、抗体検査をしてみると、感染していたことがわかることもあります。
単独での診断は推奨されていない
抗体検査を受けて陰性だったから大丈夫、というSNSへの書き込みを見ますが……
厚生労働省のホームページをみるとわかるように、
今のところ、抗体検査で診断用医薬品として認定されたものはない、のです。
WHOも、抗体検査を単独で診断目的に使うことは推奨していない
という状況です。
そして、中国産の抗体検査キットの一部はきちんと検査できていないのでは、という疑惑も出ています。
そもそも診断目的の利用は推奨されていないため、
抗体検査で陰性だったので大丈夫ですとは言えない、というわけです。
そのあたり、誤解しないようにしましょう。
東京、大阪の感染状況
とはいえ、大規模な抗体検査は、地域の流行状況を把握できる可能性があり、感染状況を把握する上では重要です。
国立感染研究所の調査の結果、各地の抗体保有率は
東京:0.10%
大阪:0.17%
宮城:0.03%
となっています(調査は6月第1週)。
今後、増加していくのか、その推移が気になりますね。