周りをけちらす外来種「ナガミヒナゲシ」

ナガミヒナゲシの写真

春、色とりどりの花たちが咲き乱れていて,外を歩くと気持ちがいいですね。

今年(2018年)も,道路脇にナガミヒナゲシが咲いているのを見つけました。高さが20cm〜60cmの草で、明るいオレンジ色の花が咲きます。花弁は4枚です。沿道や、最近では畑の畦道などでも見ることがあります。とにかくいろいろな場所で見るようになりました。

オレンジ色で鮮やかな花はきれいですが,「一日花」と聞いてから、私はちょっとぞっとしています。咲いてからほぼ一日で花弁が落ちる一日花なのに,毎朝,たくさん花を見かけるナガミヒナゲシってどれだけの数が咲いているだろうと,もはや恐怖さえ感じるこの頃です。

ナガミヒナゲシは繁殖力が強い!  未熟な種子も繁殖可能

ナガミヒナゲシはヨーロッパ原産の外来種で,観賞用に日本に伝わったとされていますが、とても繁殖力が強いことで知られています。1961年に,東京世田谷区で発見されて以来,急速に生息域を広げ,今では日本全国で確認されています。

なにせ,一個体に100個あまりの実ができ,一つの実に約1600個の種子が入っているのです。一個体が最大で15万の種子を周囲にまき散らします。しかも,未熟な種子にも発芽能力があるため,刈り取った実からも放置されると増えてしまうそうです。さらに種子の大きさが,約0.5~0.6mmほどととても小さいため,自動車のタイヤなどに付着して分布域が広がっていったと考えられています。以前は,幹線道路沿いが中心でしたが,最近では農地などでもみられるようになってきたため,広がらないように注意が呼びかけられはじめています。

他の植物の成長を抑える物質を放出、アレロパシー活性が強い!

きれいな花ですし,今のところ禁止されているわけではないので,個人で育てる分には問題はありません(ナガミヒナゲシは,ケシ科ケシ属ですが,モルヒネを含まないので,あへん法による禁止植物には含まれません)。ただし庭で育てる場合,ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強いので注意が必要です。

アレロパシー(他感作用)とは,他の植物の成長を抑える作用です。ナガミヒナゲシの根からは,他の植物の根が伸長するのを抑える物質が出ています。そのため周囲の草たちの生育をおさえて,どんどん生息域を広げていくことができるのです。

アレロパシー効果は悪いものではなく,うまく利用されている例もあります。たとえば,ハッショウマメを利用した雑草の抑制などです。ハッショウマメが出すL-DOPAという物質がキク科などの雑草の生育を抑えることが報告されています。具体的な物質や作用機序などはまだ研究途中のものも多いようですが,それぞれの植物のアレロパシー効果をうまく利用すると農業においてメリットも大きく,期待されています。

駆除する場合は、可燃ごみに

とはいえナガミヒナゲシを個人で育てる場合は,周りに広がらないように注意しましょう。もともと生えていた植物の場所をうばう危険があります。

もし蔓延を防ぎたい場合は,なるべく開花前に摘み取るようにしましょう。もし開花後に摘み取る場合は、摘み取ったものの処分にも気を配りましょう。摘み取ったナガミヒナゲシは、ビニール袋に密封して,可燃ごみとして出す方法がおすすめです。

  • ナガミヒナゲシとは?
  • 学名:Papaver dubium
  • ケシ科
  • 一年草
  • ヨーロッパ原産
  • 高さは20cm〜60cm
  • 花弁は4枚

ちなみに日本では、あへん法でケシ科のなかでも、「ケシ」と「アツミゲシ」の栽培が禁止されています。栽培可能なケシの仲間と禁止されているケシの見分けるポイントは、開花しているときでは、

  • 禁止されているケシ
    茎や葉に剛毛がほとんど見られない
    葉の切れ込みが浅い

そうです。ただし麻薬及び向精神薬取締法で禁止されるハカマオニゲシは、上記の特徴が当てはまらないということです。この判別はかなり難しいので、もし疑う例などを見つけた場合は、よく写真などと比較したほうがよいと思います。

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