花粉症の人は、果物や野菜のアレルギーも注意!?

花粉のイメージ

2020年2月、東京ではスギ花粉が飛び始めました。鼻がむずむずし始めた、くしゃみが出る、目がかゆいような気がする……。そんな人も多いのではないでしょうか。私もその1人です。マスクが品薄のなか、唯一の救いは2020年は花粉の飛ぶ量が少ない予測、ということですね。

スギの花粉症の人の多くが、ヒノキにも反応

さて、花粉症は、アレルギー反応の一つです。本来、害がないはずの花粉に対して、体が異物がきたぞーっと、反応して、追い出そうとして、症状が出るわけです。

体の防御機構である免疫細胞が、敵だと認識する部分を「抗原(アレルゲン)」といいます。

花粉症といっても、人によって反応する花粉はさまざまです。例えば、スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、シラカバ、カモガヤ、オオアワガエリなどの植物の花粉があります。

それぞれ花粉によって、別の「抗原」です。人によって、この抗原には反応するけれど、別の抗原には反応しない、といった具合なため、反応する花粉がことなるわけです。

やっかいなのは、「似ている抗原」です。スギとヒノキの抗原は、分子構造の80%以上が同じでとてもよく似ています。そのため、スギ花粉症の人の多くが、ヒノキ花粉にも反応して、交差アレルギーをおこすのです。

花粉が飛ぶ時期は、スギよりもヒノキの方が遅め。長引く花粉症は、ヒノキにもアレルギー反応しているから、かもしれません。

交差アレルギーは、果物・野菜も。トマトなど注意して

似た抗原をもつものは花粉同士だけに限りません。果物や野菜にも似た抗原をもつものも多くあります。

花粉症患者の約2割は、果物や野菜にもアレルギーを示すと言われています。

花粉抗原と交差アレルギーを引き起こす可能性のある果物・野菜には、以下のようなものがあります。

  • スギ・ヒノキ   トマト
  • シラカバ     リンゴ、モモ
  • ブタクサ     メロン、スイカ、キュウリ、バナナ
  • ヨモギ      リンゴ、ピーナッツ、メロン、キウイ、ニンジン
  • カモガヤ     メロン、スイカ、トマト、オレンジ、バナナ

 

花粉症のように、鼻水・鼻詰まりといった症状だけでなく、のどのかゆみや口内がイガイガするといった症状が出ることもあります。そのような違和感を感じたら、食べるのを控えたり、医療機関に相談したりしましょう。(もちろんすべての人が反応するわけではありません。)

花粉症は、実は昔からある病気

花粉症というと、最近わかった病気、と思う方もいるでしょう。

でも実は、かなり古くから知られた病気です。1819年、イギリスのジョン・ボストック(John Bostock)という医者が、夏頃流行る、鼻水、涙目のような風邪の症状は、干した牧草との接触でおきる「枯草熱」だと報告しました。

1873年には、イギリスの医者カールズ・ブラックレー(Charls Blackley)が著書の中で、枯草熱が牧草の花粉によっておきることを証明してみせました。150年以上も前から、花粉症というものは、知られていたのですね。

花粉症が急増する理由は?

日本で、花粉症患者が急増しているのは、事実です。1970年代から急に患者の報告が増えました。花粉症の人数は正確にはわかりません。

しかし、鼻アレルギーの全国疫学調査では、2008年の花粉症の有病率は29.3%だったそうです。しかも1998年の同様の調査からは、10%増加していました。驚きの増加率ですね。

花粉症増加の原因は諸説あります。欧米のような食生活が原因、とか、乳幼児期の衛生状態がよくなったせいでアレルギーが増加した、とか、植林されたスギが切られず花粉自体の量が増えたからという説などさまざまです。

欧米は、というと、アメリカではブタクサが、ヨーロッパではカモガヤの花粉症が多いようです。花粉症の有病率が2、3割という国も多いので、状況はあまり日本と変わらないようです。

参考 花粉症環境保健マニュアル2019 PDF環境省

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