中国の湖北省武漢市で発症が相次いでいる新型コロナウイルスによる肺炎に関して、ついに日本で患者が確認されたとニュースになりました。いまのところ、ヒトヒト間の感染は、濃厚接触をした場合に限ると報道されています。そもそもコロナウイルスって、どんなものなのでしょう。
コロナウイルス自体は風邪の原因の一つ
コロナウイルスといっても、いろいろな種類があります。今のところ、日頃からヒトに感染をおこす、いわゆる風邪の原因となるコロナウイルスは4種類。Human Coronavirus(HCoV)とよばれ、国立感染症研究所によると、風邪の10~15%はこれらのコロナウイルスが原因とされているそうです。つまり、とても身近に存在するウイルスなのです。
では、なぜこんなに警戒されているのか、というと、過去に流行した「SARS(サーズ)」と「MARS(マーズ)」の存在が大きいのでしょう。みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
重症肺炎を引き起こす「SARS」と「MARS」
SARSとMARSを引き起こすウイルスも同じコロナウイルスの仲間ですが、風邪のウイルスとは違い、基本的には動物を経由して感染するものだったのです。
SARSとは…
- 自然宿主はコウモリ
- 2002年に中国でヒトへの感染が初確認
- ヒトからヒトへ飛沫感染
- 世界で患者数8000人をこえ、死者775人(2003年時点)
- 致死率9.6%
MARSとは…
- 自然宿主はヒトコブラクダ
- 2012年にサウジアラビアでヒトへの感染が初確認
- ヒトからヒトへの伝播は限定的で、重症者からの飛沫を介して
- 世界で患者数約2500人、死者858人(2019年時点)
- 致死率34.4%
*ただし感染者の大部分が症状がほとんどでないことが、近年明らかになりつつあり、実際は何万人も感染者がいたとされます。
このような、重篤な肺炎をおこすコロナウイルスが、近年流行していたため、今回、新たな新型コロナウイルスの状況に、世界中の注目が集まっているのですね。
各動物がもつ固有のコロナウイルス
コロナウイルスは上記以外にも、いろいろな動物がそれぞれ固有の種類をもっています。ただし、本来コロナウイルスは種特異性が高いので、ほかの種類の動物に感染することは少ないのです。でも突然変異や、扱い方の変化など、何らかの要因で異種間に感染してしまうと、今回のように「新型」(ヒトにとっての新型ですが)、として脅威となることもあります。
今回の新型コロナウイルスがどのようなものなのか、続報が待たれます。
現状の新型コロナウイルスとは?
情報が錯綜していたり、隠蔽しているのではないか、と疑われたりしていて、難しいところですが、2月現在の情報をまとめておきます。
新型コロナウイルス(2019-nCoV)とは?
- 自然宿主は不明(武漢の市場の野生生物か)
- 2019年12月に中国で感染が初確認
- ヒトからヒトへ飛沫感染? 濃厚接触で感染?
- 世界で患者数1万人をこえ、死者259人(2020年2月時点)
- 致死率2〜3%?
日本も含めて、中国以外の感染例が増えてきたことから、新型コロナウイルスの感染状況についての情報も増えてきました。今のところの致死率は、SARSやMARSよりは低いとされています。
ただし、症状がない感染者がいること、潜伏期間がSARSやMARSより長いと考えられることから、世界の感染における全貌はなかなか掴めません。症状がない場合、中国武漢への滞在歴がない場合は、ウイルス検査が行われない可能性が高く、また軽症者も多いことから、実際の感染者数はさらに膨大な数に膨れているのではないか、と考えられています。
WHOもSARSよりも、感染の封じ込めは難しいのではないか、と発表しています。
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