2020年1月、ついに「チバニアン」という時代が誕生することになりました。これまで「中期更新世」と仮に呼んでいた77万4000年前から12万9000年前の地質時代、その時代の始まりを告げる痕跡が千葉県市原市の地層にあったことから、日本の研究者たちが時代の名前としてチバニアンを申請していました。
- 新生代→第四紀→更新世
・ジェラシアン
・カラブリアン
・チバニアン
・後期
更新世を四つに分けた中の一つ、がチバニアンという名前なわけです。日本の地層が基準として登録されるのは初めてのことです。いろいろとあったので、本当に無事登録が決定して良かったですね。
地質時代の名前って?
そもそも地球の歴史は、気候の劇的な変化や隕石の衝突などによって分かれる地層をもとに、117の時代に分けられています。チバニアンはその一つの時代の名前になったわけです。これまでも、例えば「ジュラ紀」はフランスからスイスにかけて連なる「ジュラ山脈」から、白亜紀は、チョーク(白亜)を含む地層から命名されてきました。
- 中生代、名前の由来
三畳紀:ドイツにある地層が3種類の地層の重畳であることに由来
ジュラ紀:フランスからスイスにかけて連なる「ジュラ山脈」に由来
白亜紀:地層に含まれるチョーク(ラテン語でクレタ、日本語で白亜)に由来
チバニアン前の年代は
- ジェラシアンは、イタリアのシチリア島、ジェーラ(Gela)が由来
- カラブリアンは、イタリアのカラブリア州に由来
とそれぞれ、その年代の特徴的な地層のある場所が由来となっています。とすると、チバニアンという名前も納得ですね。
チバニアンの始まりのような「ポールシフト」がもし起きると…
千葉県市原市の地層には、チバニアンの時代の始まり、地磁気逆転の証拠が残されています。地球は“巨大な磁石”と言われますね。現在では、地球磁石の向きは(おおまかに)北極がS極、南極がN極となっています。(磁石はN極とS曲が引き合います。方位磁石のN極が北を向く、ということは、地球磁石の北極側はN極、ということですね)
地球の歴史のなかでは、その向きが逆向きになる「地磁気の逆転(ポールシフト)」という現象がたびたびおきてきました。研究によると、過去2000万年の間、約20万〜30万年に1回のサイクルで逆転が発生していたとされています。ポールシフトはそれほど珍しいことではなかったわけです。なぜ、ポールシフトが起きるのか。地磁気が逆転するのかは、諸説あるものの、まだ解明されていません。そもそも地磁気に関しても、まだまだわかっていないことが多いのです。
そして、チバニアンの始まり、約77万4000年前は、最後の地磁気逆転が起こったとき、と考えられています。
地磁気が逆転とすると、地球上ではどのようなことが起きるのでしょう。
方位磁石の向きが逆になるだけでは? と思うかもしれません。人類が誕生してから地磁気は逆転していないので、直接の資料はなく、なんともいえませんが、過去の地磁気の逆転では、大量絶滅がおきたり、地球規模で気候が寒冷化したりしたことがわかっています。
また、もし今、地磁気の逆転がおきると、宇宙からの放射線や宇宙線が降り注ぎ、ヒトも含めた生物に影響を与えるだろうと言う研究者もいます。方位磁石の向きが変わるだけでも、飛行機などに搭載される装置など、さまざまな機器がくるい、大混乱が起きるでしょう。
地球の歴史では、たびたびおきてきた地磁気逆転、今後、人類が誕生以来初となるポールシフトはおきるのでしょうか。
伊原彩