「台風」と「ハリケーン」規模の違い

台風とハリケーンの違いとはなんでしょうか。実は、そもそも台風もハリケーンも同じもの、です。

ただ、地域によって呼び名が異なります。日本も含めてアジア(北西太平洋)では台風、typhoonと呼ばれています。アメリカなど北中米ではハリケーン、そのほかの地域ではサイクロンと呼ばれることが多いようです。

台風の強さは「クラス」

台風の強さを表すのが、「クラス」です。クラス5が最も強い台風をさします。2019年10月、東日本に甚大な被害をもたらした台風19号は大型で「猛烈な」台風、とニュースで繰り返し報道されていました。猛烈な台風とは、クラス5の中でも最も強い勢力のものです。クラス5の台風のなかにも強弱があり、

「猛烈な台風」→「非常に強い台風」→「強い台風」

という順に弱くなります。

それぞれの最大風速は、

  • 強い台風:時速119〜156km
  • 非常に強い台風:時速157〜192km
  • 猛烈な台風:時速193km以上

となります。

この台風の「クラス」とは世界気象機関(WMO)によって定められた国際基準をもとに気象庁が決めた分類です。どういうことかというと、日本の台風のクラスは、台風の「中心付近の10分間平均の最高風速」によって、算出したものです。

尺度がちがう! ハリケーンの「カテゴリー」

対して、ハリケーンの強さを表すのが、「カテゴリー」です。カテゴリー5が最も強いハリケーンをさします。例えば2005年8月にアメリカに上陸し、甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」がカテゴリー5でした。ハリケーンの強さは、アメリカなどの気象機関がシンプトンスケールに基づいて算出していて、ハリケーンの「1分間平均の最高風速」をもとにしています。

上記のように「クラス」と「カテゴリー」ではそもそも、判断基準が異なっているのです。そのため、台風のクラスとハリケーンのカテゴリーは単純に比較することができないのですね。クラス5の台風とカテゴリー5のハリケーン、どちらが強いのか、というのは単純には比較できないということです。

日本とアメリカ以外にも、中国など独自の基準を設けている国も多くあります。それらも単純には比較できないのです。

これまで日本に上陸した最強な台風とは?

日本に上陸した台風で、最も強力な台風とは、いつのものだったのでしょうか。

この場合の台風の強さの尺度をどうするのかは、悩ましいところですが、強力な台風を、「上陸直前に中心気圧が最も低い台風」という点で比較してみると、気象庁のデータから、

  • 第一位 第二室戸台風(925hPa) 1961年
  • 第二位 伊勢湾台風(929hPa) 1959年

となります。なんとなく、年々台風の威力が強まっている印象がありましたが、中心気圧という観点で比較してみると、そうではないことがわかりますね。とはいえ、どちらの台風も日本に甚大な被害をもたらしました超強力な台風でした。伊勢湾台風では、死者・行方不明者は5000人を超える被害がありました。第二室戸台風では、室戸岬で最大風速66.7m/s(最大瞬間風速84.5m/s以上)を記録しています。

ちなみに「第二」室戸台風とあると、第一はどうなんだろうと思いますよね? 第一にあたる「室戸台風」は1934年に上陸しました。中心気圧は911.6hPaだったそうですが、気象庁の統計開始前であるため、参考記録となっています。室戸台風の被害も凄まじく、四国から北陸にかけて、死者・行方不明者は3000人を超えました。

2019年に甚大な被害をもたらした19号は上陸時の中心気圧が955hPaでした。上記の一位、二位の台風がいかに強力な台風だったか、がわかりますね。

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