湯船にはゆっくり浸かるほうが健康のためによい,とよく聞きますし,
温泉では,ゆっくり浸かりたい。でも残念なことに,のぼせやすくて長く浸かるのが難しい…。
おふろでのぼせるってどういう状態なんでしょう。
長湯でのぼせたとき,顔がほてってぼんやりしたり,立ちくらみがしたり。ひどくなると,意識を失ったり……。実際に,意識喪失後に溺れてしまうこともあり,命の危険にさらされることも。原因はのぼせだけではありませんが,家庭のお風呂で年間5000人近く溺死していますから,ただののぼせと侮るなかれ。気をつけなければいけません。
「のぼせる」要因は二つ。
「血圧の低下」と「熱中症」です。
お風呂では血圧の上下が激しく起こります。「アチチ」というほど熱いお風呂に入ると,その瞬間に血圧は急上昇。これは,温度差があるほど激しいので,冬場はとくに注意が必要です。体があたたまってくると,血管が広がります。すると,今度は血圧が下がっていきます。血圧の低下でぼーっとしてしまうというわけです。
湯船から急に立ち上がると,入浴中に体にかかっている水圧がなくなるため,さらに血圧が低下。脳に血がまわらなくなってしまい,立ちくらみがしたり,意識を失ったりしてしまうのです。
対処法としては,
- ぬるめのお湯(41度以下)に浸かる
- 湯船からは急に立ち上がらない
ことがおすすめです。血圧の急上昇や急降下をなるべく抑えるのがポイントです。
もう一つが熱中症です。お風呂で熱中症?と思いますよね。
例えば,お風呂に30分浸かっていると,体温が40度以上に上昇してしまうことも。また入浴は思っている以上に,汗をかきます。1回の入浴で800mlも汗をかくという報告もあります。水分を失い,体温が上昇して,熱中症になってしまうわけです。
対処法としては,
- 入浴前に水分をとる
のがおすすめです。あとは,体温が高い状態がつづかないように,こまめに休憩を挟んだり,ぬるいお風呂に入って体温上昇をゆるやかにすることも大切です。熱いお風呂に浸かると10分くらいで体温が40度を超えてしまうそうです。早いですね。
のぼせやすいかどうか,は体質によるところも大きいです。ただ,寝不足だったり,ストレス過多が続いていたりすると,のぼせやすくなると言われています。血圧の管理にかかわる自律神経が乱れるためと考えられています。ほかにも,運動不足や過食などもかかわるようです。加齢で熱さを感じにくくなるため,我慢してしまい熱中症になりやすくなるということも言われています。
最近,のぼせやすくなったな,と思う人は,まず生活が乱れていないか,自分の行動を見直してみるとよいかもしれません。あとは水分補給や血圧乱高下の行動に気をつけてみることがよさそうです。
参考
・消費者庁 入浴中の事故死の実態